持てる技術を
形にして送り出す。

製造グループ×新製品開発室

ニーズ対応型からシーズ発信型へ

―K.S. 改めて、M.T.さんの新製品開発室の役割について教えてください。

―M.T. 私たちはアルミを主とした加工メーカーであり、これまで高い技術を背景に、お客様の要望に応え、品質の高い製品を送り出してきました。ただ、私たちが発信して新しい製品を造り出すというのはあまりしてこなかったんです。
そこで、私たちの持つ技術をベースに、新しいものを造っていこうというのが新製品開発室の目的です。
例えば、恵那工場の誇る技術って何だろう?というところからスタートするわけです。


―K.S. 恵那工場は伝統的に、金属を絞る(成形する)技術と、アルマイト加工による表面処理技術が得意ですね。

―M.T. そう、その得意な部分を、お客様に聞かれて「何ミリの薄板でも成形できます」というのではなく、「薄板成形が得意だからこういった分野に活用できます」としていきたいわけです。

高い要望が、技術者魂を刺激する

―K.S. 新製品開発室ですから当たり前ですが、M.T.さんとは7割方は新製品の話をしていますよね。
アルミらしいもの、ウチらしい技術をいかに表現していくか。

―M.T. そう、表現ですね。当社は技術はいいものを持っているのにそれを出し切れていないというか、それをうまく示すことができる試作品を作りたいわけですよ。

―K.S. M.T.さんは、お客様の必要とするであろうことを先回りして、「こんなことできる?」って案件を持ってきてくれますからね。

技術屋としての力量を試されている気がします。だからこそ、一か月後の打ち合わせには「絶対実現させてやる」って、意地になって試作品を作ってるんですよ。

―M.T. こちらも、その辺が頼りがいがあるから、無理を承知でお願いしています。毎月恵那工場で打ち合わせをしているわけですが、月1回では足りないくらいですよね。

―K.S. いえいえ、試作品を作る時間をください。(笑)
でも、要求が高ければ高いほど、やりがいがありますし、技術屋としては楽しいものです。次来る時までにサンプルを一生懸命手配して試作品を用意することが私の役割ですから。

―M.T. そうやって、作ってもらったものを、お客様のニーズにあてはめていくことで新しいモノが生まれていくんです。

―K.S. 技術側では、お客様が、もっというと世の中がどんなものを求めているかがつかみきれないところもあって、営業側でそういった情報を持ってきてくれることで、すでに持っている技術がさらに光り輝きます。

既存の技術を融合させることで
ひとつ上のレベルに昇華させる

―M.T. そうなんですよね。すでに持っている技術をいかに輝かせるか。技術の人ってすごいことをやっているのに、それが当たり前だと思っているところがもったいない。

―K.S. そうですね。例えば別の工場では、印刷機のプレートの加熱度に関する技術を持っていて、特殊な素材の合金に対して遠赤外線効果で表面処理したりしているんです。
それを、恵那工場に持ってきて、広いレンジの温度でのアルマイト加工に応用できないか、って思うわけですよ。


―M.T. そういった、工場ごとの特性や得意な技術を持ち寄って、新しいレベルに昇華させていくのも、新製品開発室の役割のひとつだと思っています。

―K.S. 現在、一緒に取り組んでいるこの試作品もまさにそうですよね。
これはSDGs(世界で取り組む持続可能な開発目標)の17の目標を色で表しているわけですが、17色のアルマイト処理とこれだけの細かい加工は、私たちが持ついくつもの技術の組み合わせで成り立っています。

―M.T. この試作品を見せるだけで、お客様に私たちの数々の技術を示すことができるし、これを見たお客様の側でも新たなひらめきに繋がるということになる。

―K.S. そうやって、目には見えにくい技術を、誰にでも認識できる形にしていくことはとても重要ですね。
M.T.さんと一緒に仕事をすることで、自分たちの技術に自信を持って世に送り出していけるのですが、営業や新製品開発室に引っ張られっぱなしでは面白くないので、技術部門主導で新しいものを生み出していけるようになりたいです。

PROFILE

1995年入社

生産本部 恵那工場
製造部製造グループ

主査 K.S.

地元、岐阜県出身で製造部門一筋。
表面処理や絞りといった恵那工場が持つ技術を全社に広めていく使命感を持つ。

クロストークを終えて
―K.S.  M.T.さんは、工場を熱量をもって引っ張る方なので、今日改めて刺激になりました。私としても、UACJ金属加工全体が動いていくような役割を担いたいと思っています。
技術屋としてはこの歳になっても、まだワクワクできるのはとてもうれしいことです。 新しく入って来る人には、このワクワクを味わってほしい。我々世代がベースを築いておくから、積み上げたものからさらに前に進んで、自由にやってくれって言いたいです。

―M.T.  K.S.さんとは、ああしたい、こうしたいを直球でぶつけ合える間柄で、とても高いレベルの仕事ができます。 相手の思っているところをつかみ取る波長というか、あうんの呼吸があるんですね。
営業も技術も、伝える能力だったり、聞き取る能力がとても重要です。さらには、自らが積極的に動くことで物事を動かしてほしい。
会社に所属するではなく、会社を変えていきたいと考える人達に来てほしいと思っています。

PROFILE

1997年入社

営業本部
新製品開発室

室長 M.T.

技術畑(材料工学)出身ながら長く営業を担当。
技術者の視点と営業の視点の双方を活かし、2020年に新設された新製品開発室の室長となる。